使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料の事業化検討を加速

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2021年1月29日

各位

日揮ホールディングス株式会社
株式会社レボインターナショナル
石油資源開発株式会社
コスモ石油株式会社

 使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料の事業化検討を加速
-コスモ石油(株)が事業化検討に新たに参画-

日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO:佐藤 雅之、本社:神奈川県横浜市西区、以下、「日揮HD」)、株式会社レボインターナショナル(代表取締役:越川哲也、本社:京都府京都市伏見区、以下、「レボインターナショナル」)および石油資源開発株式会社(代表取締役社長:藤田昌宏、本社:東京都千代田区、以下、「JAPEX」)は、2020年1月より、使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」の国内におけるサプライチェーン構築に向けた事業化検討(以下、「本事業化検討」)を実施してまいりました。

この度、新たにコスモ石油株式会社(代表取締役社長:田中 俊一、本社:東京都港区、以下、「コスモ石油」)が本事業化検討に参画することとなりました。航空機燃料の製造から貯蔵、輸送、給油に至るまでの幅広いノウハウを持つコスモ石油の参画により、2025年頃を目標とするSAF製造設備の稼働および本格商業化に向けた取組みを更に加速させてまいります。

  1. 本事業実施の背景:

世界的な温室効果ガス(GHG)排出量削減への対応が急速に求められるなか、航空業界においては、国際民間航空機関(ICAO)が、2016年の総会において、国際航空分野のCO2総排出量を2021年以降増加させないことを目標として、2019年のCO2排出量を超過した分についてCO2排出権の購入等を義務付ける制度であるCORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)制度導入を採択しており、都市ごみ、植物・動物油脂、使用済み食用油や木材等バイオマス由来の原料や、製鉄所や製油所等の排ガスから製造されるSAFの開発・安定供給への期待が高まっております。

こうした状況の下、既に欧米ではSAFを活用した航空機燃料の実用化が進んでおり、また、日本国内においても航空会社による海外からのSAF調達が開始される等、今後の航空業界におけるSAF需要拡大を見据えた取り組みが着実に進行しております。一方で、日本国内で製造されるSAFについては、製造コストや供給安定性が課題となっており、経済性の高いSAFの製造体制の確立と、原料調達から供給までの安定的なサプライチェーンの構築が急務となっております。

※2020年に基準年が見直され、「2019年、2020年のCO2平均排出量を超過した分」から、「2019年のCO2排出量を超過した分」に変更

  1. 事業化検討状況

上記背景等を踏まえ、日揮HD、レボインターナショナル、JAPEXおよびコスモ石油の4社にて、現在、国内におけるSAFの製造体制の確立とサプライチェーンの構築に向けて、原料となる使用済み食用油の調達計画、欧米等で商業実績のある技術を適用した製造プロセスの導入、製造設備のコスト積算、製品輸送・販売スキーム等を中心に具体的なサプライチェーンの構築に向けた検討を進めております。また、利用者である航空会社、航空機燃料供給に関わる関係官庁等との連携強化も進めております。これらの取り組みを通じて最終的には、2025年頃を目標とするSAF製造設備の稼働および本格商業化に向けた事業計画を具現化させていく予定です。

将来的には、SAF製造設備を全国展開し、製造コストを低減させ、国内のSAFマーケット確立に寄与するため、製造設備設計においても既設製油所内にSAF製造設備を建設することを想定した装置・プロセス設計を実施しており、純国産資源を用いた地産地消モデルを本事業において構築することを目指しております。

航空機に搭載される航空機燃料は、燃料油の中でも特に厳格な品質管理が要求されており、元売り事業者であるコスモ石油が持つ航空機燃料製造から貯蔵、輸送、給油に至るまでのノウハウはSAF製造サプライチェーンの構築において必須であると認識しており、今回のコスモ石油の参画は、本事業化検討の具現化に向けた大きな前進であると考えております。同事業を拡大していくことで、国内におけるSAFサプライチェーンの構築を目指し、4社は、GHG排出量の削減を推進し、持続可能な循環型社会の形成に貢献してまいります。

参考:本協業の取り組みイメージ図

 

以上

【各社情報(ご参考)】

日揮ホールディングス株式会社について
日揮HDは、企業グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「環境調和型社会」の実現を挙げ、環境負荷の小さいLNG(液化天然ガス)プラントや、バイオマス発電、太陽光発電設備等の再生可能エネルギープラントの建設、マイクロプラスチック代替素材やHV/EV向け放熱伝導窒化ケイ素基板等の機能材製造、水素エネルギー(CO2フリーアンモニア)や廃プラスチックのケミカルリサイクル等の環境関連技術の早期ビジネス化等に注力しております。また、日揮グループの国内EPC事業会社である日揮株式会社はエンジニアリング企業として、国内でエネルギー・一般産業分野等で多数のプラント・施設を建設してきた実績を有します。
本事業においては、環境分野への取組みに係る知見・実績およびEPC事業における実績により築かれた各種エンジニアリング技術、プロジェクト管理能力を活かし、サプライチェーン全体の最適化や効率的、経済的な製造設備の提案ならびに建設に貢献してまいります。
ホームページ https://www.jgc.com/jp/

 株式会社レボインターナショナルについて
レボインターナショナルは、全国規模での使用済み食用油の引取ネットワークを構築し、自社開発の製造プロセスにより京都市を始めとし、長年に亘り国内外にバイオディーゼル燃料の製造販売を行い、原料調達・技術開発・製造販売の自社一貫体制を確立し、日本初の品質規格策定協力等、パイオニア企業として随一の実績を築いてきました。
今後、更に使用済み食用油の引取ネットワークを拡充すると共に新たな原料油脂の調達も本格化させ、本事業においては、国内需要の創出を図り、バイオマス循環資源としての国内利用を拡大し、地域循環共生圏の構築に取り組んでまいります。
ホームページ https://revo-international.co.jp/

石油資源開発株式会社(JAPEX)について

JAPEXは、石油・天然ガスのE&P(探鉱・開発・生産)に国内外で取り組むとともに、原油や石油製品、天然ガスの供給販売に加え、日本初の液化天然ガス(LNG)製造プラントの操業やLNG鉄道貨車輸送の実現等、石油・天然ガス製品に係る独自の取組み実績を有しています。また、再生可能エネルギー開発やCCS(CO2の回収・貯留)・CCUSの技術開発等、低炭素化・脱炭素化へ貢献するための取組みを推進しています。
2014~2015年に国内外の官民で組成し検討を進めた「次世代航空機燃料イニシアティブ」への参画実績や、原油・天然ガス・石油製品の供給販売や施設操業の経験や知見をもとに、事業の具現化とサプライチェーンの構築へ貢献してまいります。
ホームページ https://www.japex.co.jp/

コスモ石油株式会社について
コスモ石油が所属するコスモエネルギーグループは、日々の生活に欠かせないエネルギーを、安全・安定的に供給し続ける公共的な使命を担う企業として、グループの主力事業である石油事業、石油化学事業に加え、長期的な環境変化を見据え再生可能エネルギー事業を展開しております。
グループ理念に「地球環境との調和と共生」を掲げ、世界で最も環境に配慮した石油・エネルギーグループを目指す当社グループは、第6次連結中期経営計画『Oil & New』のもと、自社の強みを生かし、SS(サービスステーション)ネットワークを活用した次世代モビリティ社会に向けた取り組みや、環境にやさしい電力の販売、風力発電事業を中心としたクリーンエネルギーの拡大等を進めております。本事業を含むこれらの取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
ホームページ https://www.cosmo-oil.co.jp/