国内外に69施設を運営し、旅を楽しくする星野リゾート(長野県軽井沢町、代表:星野佳路)、株式会社レボインターナショナル(京都府京都市下京区、代表取締役:越川哲也)、日揮ホールディングス株式会社(神奈川県横浜市、代表取締役会長CEO:佐藤雅之)、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY(神奈川県横浜市、代表:秋鹿正敬)の4社は、2024年4月17日より、廃食用油を「持続可能な航空燃料(以下、SAF)」等へ再資源化する仕組みの運用を開始します。星野リゾートは運営施設で生じる廃食用油の提供に協力。関西国際空港から1駅のりんくうタウン駅に位置するエアポートホテル「OMO関西空港(おも) by 星野リゾート」より導入し、今後、同様の仕組みを星野リゾートの国内施設へ順次拡大していくことを目指します。
持続可能な航空燃料(SAF)とは
SAF(Sustainable Aviation Fuel)とは、廃食用油や植物・動物油脂、木質バイオマスなど、化石燃料以外を原料とする「持続可能な航空燃料」のことで、従来の原油からつくる燃料と比べて二酸化炭素(以下、CO2)の排出量を大幅に削減することができます。原料が100%廃食用油の場合、原料収集から SAFの製造・燃焼までのバリューチェーン全体で、従来の航空燃料と比較してCO2排出量を約80%削減することができます。
本取り組みの背景
世界各国で気候変動問題に対する取り組みが加速しており、航空業界においては、CO2削減の有効な手段の一つであるSAFの重要性が一段と高まっています。日本政府は、2030年を目途に航空燃料のSAF混合率を10%にすることを目標として掲げており(*1)、国産SAFの安定的な供給が必須です。しかしながら、日本では、SAFの原料となる廃食用油の多くは廃棄されたり、海外に輸出されたりしているため、原材料の確保が課題となっています。この課題解消の一助とするために、4社の協働により、星野リゾートの運営施設で生じた廃食用油をSAF等の原料に再資源化する仕組みを導入します。なお、本取り組みは関西3空港(関西国際空港・大阪国際空港・神戸空港)を運営する関西エアポート株式会社(大阪府泉佐野市 代表取締役社長CEO:山谷佳之)が星野リゾートに対して協力を呼び掛けたことがきっかけで協業に至りました。
*1 一般財団法人 運輸総合研究所,2023年11月1日,「SAFの重要性及び国内におけるSAF原料調達のポテンシャルについて」
取り組みの内容と各社の役割
- 株式会社レボインターナショナル
星野リゾートの運営施設で生じた廃食用油を資源として収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYに引渡すとともに、星野リゾートから買い受けた廃食用油の引取り量とSAFFAIRE SKY ENERGY への引渡し量など収集状況を管理することで、廃食用油のトレーサビリティを明らかにします。
- 星野リゾート
運営施設で生じる廃食用油の提供に協力します。2024年4月より「OMO関西空港」より開始し、今後同様の取り組みを、星野リゾートの国内施設へ順次拡大していくことを目指します。回収した廃食用油は、2024年まではレボインターナショナルの設備にてバイオディーゼルの原料として、2025年初頭に予定されている国産SAF製造プラントの運転開始後はSAFの原料として再資源化されます。
- 日揮ホールディングス株式会社
廃食用油を原料とする SAF製造事業(コスモ石油株式会社、株式会社レボインターナショナルとの共同事業)に関するサプライチェーンの全体構築を行います。また、提供された廃食用油は、日揮ホールディングスがコスモ石油、レボインターナショナルと共同で設立した「合同会社 SAFFAIRE SKY ENERGY」に引き渡され、引き取った廃食用油を原料としてSAFの製造を行います。なお、本事業はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)より採択(*1)を受けた助成事業です。
*1 NEDOホームページ:https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100312.html
- 関西エアポート株式会社
2022年、日揮ホールディングス、レボインターナショナル及びSAFFAIRE SKY ENERGYと、「国産SAFの量産化に向けた協力に関する基本合意書」を締結。2025年の国産SAF大規模製造第1号の実現、SAFの地産地消をめざし、SAFの重要性を周知し、空港や地元の飲食店・ホテル・学校・地域住民などに廃食用油の回収を呼びかけるなどの取り組みを行っています。この呼びかけを受けて、「OMO関西空港 by 星野リゾート」を含めた本取り組みの実現に至りました。
SDGsへの貢献について
星野リゾートは経済価値と社会価値を両立する CSV 経営(*2)が重要だと考えています。SDGsを、CSV経営を促進するためのフレームワークとして捉え、さまざまな活動に取り組んでいます。本取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に寄与することを目指しています。
*2 CSV経営:共通価値の創造。事業を通じて、社会課題の解決を目指す考え方
【参考】CSV経営をさらに推進するために 星野リゾートが考えるSDGsの取り組み
施設概要
施設名 :OMO関西空港 by 星野リゾート
所在地 :大阪府泉佐野市りんくう往来北1-833
施設構成 :地上1階~22階 OMOベース、大浴場、サウナ、レストラン、ランドリーなど室数 :700室
アクセス :南海電鉄・JR「りんくうタウン駅」から徒歩約1分
電話 :050-3134-8095(OMO予約センター)
URL :https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omokansaiairport/
企業概要
- 株式会社レボインターナショナル
美しい地球を次の世代へ繋げる為、使用済み食用油を環境にやさしいバイオ燃料へのリサイクル事業(燃料化技術開発・製造・供給・販売までを自社一貫体制にて)を推進しています。また、私たちの生活の中で起こる身近な環境問題を解決するため、すべての廃棄物を資源として活用できる次世代技術の研究開発に取り組んでいます。
URL:https://revo-international.co.jp/
- 星野リゾート
「旅を楽しくする」をテーマに、旅の目的や過ごし方に合わせた滞在を提案しています。独創的なテーマが紡ぐ圧倒的非日常「星のや」、ご当地の魅力を発信する温泉旅館「界」、想像を超えて記憶に残るリゾートホテル「リゾナーレ」、テンションあがる「街ナカ」ホテル「OMO(おも)」、みんなでルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に、国内外69施設(国内64、海外5)を運営。2024年に創業110周年を迎えました。
URL:https://www.hoshinoresorts.com/
- 日揮ホールディングス株式会社
持株会社である日揮ホールディングスの傘下に世界各地に95社を擁する企業グループ。“Enhancing planetary health”のパーパスのもと、エネルギーとインフラの分野を中心としたプラント・設備の設計・調達・建設・メンテナンスを行う「総合エンジニアリング事業」を主要ビジネスの一つとし、1928年の設立以降、日本国内のみならず世界各地で様々なプロジェクトを遂行してきました。これらプロジェクトの遂行を通して培ってきた実績やエンジニアリング技術、プロジェクトマネジメント力を礎に、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」における「エネルギートランジション」をはじめとする5つのビジネス領域へと事業を多角化し自らの変革を進め、持続的な成長を果たしていくことを目指しています。
URL:https://www.jgc.com/
- 合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY
国内初となる国産SAFの大規模生産を目指し、日揮ホールディングス・コスモ石油・レボインターナショナルの3社が合同で2022年11月に設立しました。現在、大阪府堺市のコスモ石油堺製油所内にてSAF製造装置建設中で、2024年内のSAF製造装置完工、2024年度下期~2025年度上期での運転開始を予定しています。今後、SAFのサプライチェーン構築に向けた事業開発を一層加速させるとともに、大阪・関西万博の開催によって世界からの関心がさらに高まる2025年の国産SAF供給実現を目指しています。